福島県の県議会議員を選ぶ地方選挙は、11月12日が投票日。

立候補者の顔ぶれを見ると入れ替えも少なく、無投票で決まる選挙区も多い。選挙民の関心も低く、盛り上がりに欠けているように思える。県と県議会の役割、また、国との関係も、どこまでが県の権限で対処できることなのか、それぞれの役割にも疑問が残る。

沖縄県の辺野古飛行場建設工事問題、福島県の処理水海洋放出問題、国の政策方針に基づいて決定された事実を現場の自冶体に説明するが、それは決定事項への理解を得られたという既成事実を作るためのすべてがアリバイづくりに見えて仕方がない。沖縄県では、県民の大半が反対する意思を受けて拒否し続ける沖縄県に、国は、国の権限で代執行を行う気配である。福島県の処理水放出問題は、放置できないまでに増えてしまった処理水を国の決定通りに放出せざるを得ないまでに至っている現実。国の原発政策の中で翻弄され続ける県の立場は弱い。

福島県は、明治初期に三島県令の圧政に反対する民衆の力が、河野広中などの自由民権運動家を生み、国会開設に大きな貢献を果たした歴史を持つ。現在の地方自冶体は、地方自冶法第1条において、「この法律は、地方自治の本旨に基いて、地方公共団体の区分並びに地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することにより、地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを目的とする。」と定められている。これにより、地方自冶体は、国に従属する立場ではなく、対等な立場であることを明確にしている。

県民の生活現場に関わる課題を担うのが県の役割であり、その方向性を定めていくのが県議会の役割である。これからの混沌とした時代に、国の定めた全国一律の政策に対し、地方から地方の独自性を示し、現場にあった政策として決定していくことができる県議会であってほしい。当選後の4年間で地方自冶体と県議会の真価が問われるとの自覚を持って議員を務めてもらいたいと願う。