「日本で最も美しい村」連合について

飯館村は、阿武隈山系北部の高原に開けた豊かな自然に恵まれた、「日本一美しい村」として有名です。
飯館村は、全戸の3分の1が旧満州などからの引き揚げです。県内の他地域と比べても、気温が数度低い未開拓の荒れ果てた寒冷地で、人々は木を伐り、土地を耕し、半世紀がかりで「日本一美しい村」と呼ばれるまでになりました。入植した引揚者が、掘っ立て小屋を作り、霜が降り、凍てつくような土地を必死で開墾して、実に50年の年月が経っていました。
そして、記憶に新しい2011年3月11日、東日本大震災が、東北・関東の地を襲いました。
今、除染した後の汚染土があちこちに積まれている飯館村で、ある男性は言いました。「もう一度、村を開拓し直すんだ、戦後と同じだよ。そして20年30年後に帰ってきた孫たちに、じいちゃん、ばあちゃんは日本一の村を復活させた、と胸を張るんだ」と。
何世代も費やし、苦労の末に築いたものを一気に失う、そんな事態に陥っても、飯館の人は、絶望から立ち上がる強さを持っています。
飯館村内を車でまわると、丁寧に草を刈った側道の向こうに、たくさんのひまわりが植えられたひまわり畑が、いたるところにあるのがわかります。
人間の能力で、希望を創り出す力ほど尊いものはありません。その希望は、「自分のため」ではなく「次世代のため」にと、未来を見つめる中から生まれてくるのです。