師走。平成25年も残すところあとわずかとなった。

今年1年間で原発事故当時の首長の多くが入れ替えとなった。福島市、二本松市、郡山市、いわき市、福島県の主要都市の市長が、すべて新人候補に負けて落選した。自民党支持の現職である。原発事故後の対応に対する不満が根強いことを表している。

新人候補が長期的な準備を行い選挙に取り組んできた候補とも思えない。原発事故後の対応のまずさを批判し、「住民の立場で」を訴える。住民感情としては誰でも良かった。政府の指示待ち行政で、住民への配慮が見られない。今、困っている住民に、今、対策を率先してやろうとする意思を示さない。現職首長への不信任の結果であろう。それは、反面では、消去法による住民の選択でもある。それなりの候補であれば、現職以外なら誰でも良かったということにもなる。

安倍政権の圧勝から数の力を背景に急激に政治が変わろうとしている。しかし、その政策を理解し支持しているかどうかは大変疑問である。自民党に圧勝した民主党から3年、今度は大逆転で自民党が圧勝。何で自民党なのか、民主党がダメだから。現職があまりにもダメだから。消去法により揺れ動く政治。その結果は、数の論理で一人歩きを始める。

選挙は、その国の、その地方の民主主義の質をあらわす。ダメだしによる消去法、不満の表現にはなっても、これからの展望を見え出せるものとなるかどうかは疑問である。民主主義の形骸化と政治不信を象徴する現象である。

国の主権者である国民としての自覚と見識を身につけて行くことが、真の民主主義を創っていく。自分たちの代弁者として信頼できる候補者を積極的に選択していくことのできる社会を理想としていきたい。