9月があっという間に終わり10月を迎えた。時間の経つのは早い。9月末には、スーパームーンという言葉を始めて知った。満月の月がひときわ大きく赤みを帯びて見える。月が大きく見えるということは、地球と月の距離が近くなってきているのか。地球に一番近くの星である月の引力が海の潮の満ち引きを起こしている。月の引力が強まっている?

これに前後してこれからの日本社会に大きな影響を持つと思われる安保関連法案が、9月19日成立、30日公布された。アメリカとの軍事条約である安保条約に実効性を持たせるための国内法の整備である。さらに、10月5日には、「TPP(環太平洋連携協定)が大筋合意」の見出しも、「大筋合意」これでTPPが成立したと考えてよいのか。太平洋を囲む12カ国が参加、アメリカを中心とする経済圏における経済活動に対する自由化を求める多国間の経済条約である。これによる国内法や経済政策がこれから具体的に表面化してくるものと思われる。

アメリカ経済圏内の経済活動の自由化、それはそれぞれの国内の事情を背景として行ってきた関税や国内規制がなくなることを意味する。関税自主権は独立国としての重要な要素である。明治政府の難題の一つが、課税自主権を回復するための不平等条約の撤廃であった。経済活動の歯止めのない自由化は、現在の合意が時間の経過の中で新たな格差や矛盾を作り出す。国内での議論が強大な外圧のもとでは潰されていく。

アメリカを中心とする軍事条約、経済条約の整備が進み、日本はその主力メンバーの地位を否応なしに担うこととなる。アメリカの引力が益々強まっていくのか。スーパームーンがこれからの日本にとっての災いの予告とならないことを願うのみである。