8月に入っても7月からの猛暑は止まらない。5日には伊達市で40℃を記録し、これは福島県での記録としては観測史上初ということだそうだ。全国各地が35℃を超える記録的猛暑、線状降水帯の発生による記録的豪雨。天気予報は連日、“記録的”な予報が続く。
日本の天気予報の歴史は、1875年(明治8年)の東京気象台(気象庁の前進)が観測を開始した時から始まる。現在は2023年(令和5年)8月であるから、それから148年ということとなる。観測データの蓄積があるのは、ここからであるから観測史上というのは約150年間になかったということになるのだろうか。
天気予報の歴史の中で1941年(昭和16年)から1945年(昭和20年)まで軍事機密保持のため天気予報が中断されていた。軍事行動を行う場合には。気象情報が重要となる。艦船や航空機の運航には、気象情報は不可欠なものであり、明治以降の観測技術の進歩の多くが軍事的要請で整備されてきたという側面が見え隠れする。気象衛星も元は偵察用軍事衛星や大陸間弾道ミサイル技術の平和利用である。
国の政策として育成された軍事産業の平和産業への転用と言える代表格は原子力発電であろう。原子爆弾の製造過程に欠かせない原爆の原料は、原子力発電から出てくる副産物である。ウクライナの戦争が長期化し核の脅威が増している中での世界的な原子炉再稼働の動きは、核兵器増産に向けた軍事産業からの要請であることは明らかで、クリーンエネルギーであるからという説明はどこから出てくるのだろうか。
「G7広島サミット2023」が開かれた広島に今年も原爆投下と終戦記念日がやってくる。経済制裁の応酬と軍備拡張競争による力の均衡、平和のためと言いながら、いつまでも続かない力の均衡により得られる平和は、巨大化した軍事力の衝突による代償を伴う。戦争の悪夢を繰り返さないため、日本国憲法制定時の平和への祈りを忘れてはならない。

天気予報…今後どんな天候になるのか予報して伝えるもの
気象情報…警戒すべき天候が予測されると出される情報