第4次安倍政権が11月1日スタートした。衆議院解散後の総選挙での圧勝を受け、閣僚はすべて再任され、政策の変更はなくそのまま継続されることとなった。これを待っていたかのように5日には、トランプ米大統領が来日、北朝鮮をめぐる国際的な動きも一挙に活発化してきた。トランプ大統領のアジア諸国歴訪の旅は13日間の予定で行われるということである。

日本、韓国、中国、フィリピン、ベトナム等々を訪問、10日にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催され、米ソ首脳会談、日中首脳会談等の国際外交が繰り広げられている。これらのトランプ大統領の動きを世界地図に重ねてみると、アジア全体が北朝鮮包囲網に見えてくる。日米首脳会談の合意により、日米主導での経済圧力の一段の強化が進められようとしている。

戦国時代の城攻めの様子と重なってくる。豊臣秀吉の晩年における城攻めは、絶対的な武力の優位を背景に、籠城する城の周囲を幾重にも包囲し、自国軍の損害を最小限にとどめながら、敵の戦意を喪失させ自滅に追い込んでいく精神戦を時間をかけて展開している。補給路を断たれた籠城戦は、最終的な軍事衝突を待つ前哨戦となる。そこでは、すでに圧勝できることを前提とした戦後処理、論功や処分についても話し合われていたものと思われる。

追い込まれた小国が、服従せずに取れる選択肢は狭まってくる。北朝鮮後のアジア世界への思惑が渦巻いている。国際的な会談の内容については、報道されない部分が多く、具体的な現場レベルでの協議内容こそが気になる。戦火にさらされた人々の悲劇に勝者も敗者もない。真相も知らされないままに殺されていく不条理な世界、最大の人災の悲劇を繰り返してはならない。戦闘開始時のシュミレーションから戦後処理までが、すでに具体的な日程となっていないことを願うのみである。