NPO法人シャローム 災害支援センター 福島放射線測定情報サイト

Shalom Disaster Relief Center Fukushima radiation measurement information site

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『ふくしま公園測定プロジェクト』事業について

 

福島県は震災後の原発事故の影響で子ども達が公園で遊ばなくなり、運動能力の低下がみられるようになりました。文部科学省の2014年度学校保健統計調査(速報値)では、福島県の肥満傾向児の割合は、9歳が全国平均(8.14%)の1.8倍の15.07%だったほか、6歳、7歳、11歳、12歳、13歳の6つの年齢で全国最多。13年度と比べると8つの年齢で割合が増加しました。また、福島県教育委員会がまとめた2013(平成25)年度の児童生徒の体力・運動能力の調査結果では、運動能力の指標となる総合得点の平均値が男女とも小学2年~中学3年で12年度の全国平均を下回っています。全国平均と比べて小学2年~中学3年で、男子が全国より0.85~4.01ポイント低く、女子も0.44~4.54ポイント下回りました。震災前の本県10年度調査と比べても小学3年~中学3年で男子は0.35~2.79ポイント、女子は0.2~1.69ポイント下がりました。これは明らかに日常生活での屋外での運動や遊びが減ったことによるものと考えられます。

公園は除染済みですが、保護者の間では放射能への不安から積極的に公園を利用する気持ちが失われています。除染の行われた屋外の遊び場の放射線量を正確かつ詳細に確認し、保護者や地域住民の皆さまに測定値を分かりやすく紹介することが必要です。推定値ではなく、子どもたちが実際に遊び、歩く場所を実測することでこそ、子どもを遊ばせることができるかどうかの判断材料を提供することができます。これは被曝を避け、かつ必要な運動の量と質を確保するため、福島に暮らす全ての人々にとって重要な情報になると考えます。

特にこの『ふくしま公園測定プロジェクト』では、しゃがんだり寝転んだりする子どもたちの遊びの様態を考慮し、地上10cmでの測定を重視します。10cmと共に子ども基準とされる50cm、大人基準とされる1mとの3点を比較測定することにより、子どもの育ちに寄り添った測定情報として提供します。外遊び可能な場所を具体的に把握できることが「運動の機会獲得の向上」につながり、日常的に有効な手段とすることができるのです。

大切なのは『適時性』。子どもたちの成長には一瞬一瞬の積み重ねが大事であり、そのための時間は決して待ってはくれません。巻き戻すこともできません。大人は、全ての子どもたちに補償された権利である『健やかな成長と発達』の実現のために、最大限の努力を惜しむべきではありません。住民の皆さんと共に、この『ふくしま公園測定プロジェクト』を実り豊かなものにしたいと願っています。ご理解・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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