8月、暑いのが当たり前と思いながらも、今年の夏は一段と暑い。40℃の話題が連日のように続く。世界中が暑苦しいようである。

8月は、広島・長崎の原爆の日、終戦記念日と戦争の記憶が蘇る。世の中は、戦争体験を持たない人が大半となっているが、親の世代がその体験者であることを考えると人ごとではない。ウクライナの戦争の様子を見るたびに、戦争が、過去の出来事として終わっていない現実を私たちに突きつけてくる。

直接的な軍事行動が起こる前には、多くの問題が発生しており、経済対立や軍拡競争がある。これが限界点を超えると暴力装置が発動され軍事衝突となる。経済対立から経済制裁へ、制裁の発動は戦争の前哨戦であり、この制裁への参加・不参加は、敵・味方を識別するための踏み絵と言えなくもない。

8月1日、核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が、7年ぶりにニューヨークで開幕し、岸田首相が「核兵器のない世界」の実現に向けた演説を行ったというニュースが流れた。被爆地広島出身の首相がこの時期に演説する意味は大きい。軍拡競争に油を注ぐようなことにならないことを祈らないではいられない。

電力需要の逼迫化を理由に、世界は原発の復活に向けて急激に舵をきっている。これに追随するように、日本の原発も再稼働に向けた準備が進められている。福島原発事故の教訓から、原発廃炉への流れが世界的に広がったかに見えたが、中ロと日米の経済戦争の激化の中で、原発再稼働の動きが加速している。コロナの前までは、世界はグローバルだと言われていたが、これを機に、世界は二極対立を強め、ウクライナの戦争によってその対立の構図はより鮮明となってきている。

戦争の悲劇は、戦場となった沖縄の悲劇、広島・長崎への原子爆弾、日本全国に残る空襲の記憶、対立を武力で解決しようとすることによる悲劇だけは避けなければならない。

8月、戦争の記憶を呼び覚まし、日本は、これを強く訴えていくべき立場にある。