8月に入り、各地に甚大な被害をもたらした梅雨もやっと明けた。近年になく長かった梅雨で日照不足、農作物や果物への影響も心配なところである。コロナの影響で子どもたちの夏休みは、例年の半分の期間に短縮され、都会からの帰郷もままならない。行動的に野外で飛び回りたい季節が来ているのに、賑やかに集まり楽しむ機会はすべて自粛、子どもたちの歓声が聞こえない夏は寂しい。
 GoToキャンペーン。コロナ対策として、補正予算の中で1兆2,803億円という大規模なものとなっている。コロナに耐えて迎えた夏の日、太陽の日差しを精一杯受けて過ごす機会をつくることを想定して計画されたものと推測される。粋な計らいも、時を外すとその効果は期待できないものとなる。
 連日の感染者数の報道、毎日感染者数は増加し、感染拡大が続いていることを告げる。都会では、再び飲食店等の営業制限も始まっている。帰省もできるだけ自粛するようにという微妙な雰囲気に覆われている。
 コロナ以前は、都会からの観光客、海外からの観光客をどう呼び込めるか。それを目指して繰り広げられてきた観光による地域おこし、日本中で観光誘致の大合唱を繰り広げていた。しかし、今では、コロナへの不安から、地方では都会からの帰省者を避けている。行く側も迎える側も、コロナへの不安を引きずり素直には喜べない状況になっている。コロナが終息していることを前提に組まれた予算が、感染拡大が懸念されるという全く逆な状況になっているにもかかわらず執行されている。国の描いた計画は、予算化されると大型プロジェクトとして多くの企業を巻き込み動き始める。動き始めた電車は止められない。本来の事業目的を見失い、予算消化を目的とする事業となって使われた予算も、後始末は今後に引き継がれて行く。
 8月6日は、広島原爆の日。75年の節目の年、コロナの感染防止のためとして入場が規制される中で、平和への祈りが捧げられた。しかし、コロナ禍の中で米中の緊張は高まり軍備の拡張競争を加速させている。発展途上国への感染拡大と世界規模での自然災害、バッタの大発生、世界的な食糧危機、様々な不安が重なり戦争への不安をかき立てる。
 平和への祈りが今ほど切実に求められる時はない。