8月1日の朝刊は、東京電力が、7月31日福島第2原発の全4基の廃炉を正式決定したことを報じた。第1原発の6基と合わせて県内原発のすべての廃炉が決定した。原発事故(2011.3)から8年半が経ち、当初から言い続けた廃炉がやっと決定した。あれだけの被害をもたらした原発の廃炉が、8年間も決定できなかった東京電力の背景には何があったのか。

事故後もトップ外交による原発輸出を試みてきたが、ことごとく失敗し世界の原発離れが進んでいる。日本もやっと国の原子力政策の転換を余儀なくされたということではなかろうか。この廃炉が決まっても、廃炉完了までは40年以上かかる見通しという。40年以上と言われると、ほぼその最終の姿を見ることはできないだろう。気の遠くなるような話である。

廃炉決定により、これから解体に向けての工程表が明らかになっていくはずである。第1原発の廃炉作業も予定通りに進んでいるようには思えない。広大な敷地を埋め尽くしたタンク群、壊れた原子炉内からの放射性物質の回収、安全に、そして適切な方法で作業が進められていくことを願うのみである。40年後の廃炉の完了した姿が、原発事故により原子力政策を転換した日本社会のシンボルモニュメントとして、福島の教訓を後世の人々に伝えるものとなるようしっかり取り組んでもらいたいと思う。

18年度の復興予算が36%未消化で19年度に繰り越されているという。巨大な数字だけが目に入る。復興拠点には目を見張るような建物群が目につく。しかし、人の姿はまばらで、使いこなして行けるのだろうかと心配になる。住み続けることを可能とする、次世代を担う若者たちが生活できるための環境整備に有効に生かしてもらいたい。全国の原子炉が今後順次廃炉となっていくことを思えば、福島の廃炉事業こそ地域再生を目指す日本社会のシンボル事業と思えてくる。

8月は、原爆の日が巡ってくる。平和への祈りとともに、全基廃炉決定が日本の英知を結集した平和への事業として世界に誇れる結果を残してもらいたい。